[ マルコ・クロイツという男と顔を合わせたのも、王都の上屋敷でのことだった。
初めは護衛という名目の見張りの軍人として ]
貧乏クジ引いたな、隊長さん。
[ 沈着冷静な軍人を絵に描いたような男に対して、揶揄うような言葉を投げたのが、その最初 ]
オクタヴィアス殿が、叛意でも見せて、それを捕らえるなんて展開になれば、あんたも出世できるんだろうが、そんな事には絶対にならない。
退屈な務めになると思うぜ?
[ まるで、わざと神経を逆撫でるかのような物言いに、クロイツは反応したかどうか。戯れ言と、無視されたとしても、彼はその態度を改めはしなかった ]