[皆に挨拶を済ませ、独りで辿る家路。彼女の家を訪れた事はあっても、彼女の手料理は一口も口にした事はなかった。きっと、愛情たっぷりの暖かで幸せな味がするのだろう。]…――重そう。[胃では無く、心に。自分が空っぽな自覚位ある。けれどわざわざ自ら再確認する程マゾヒストではない。きっと、ひとたび口にしてしまえば思い知る事だろう。自分には、そんな風に誰かを想う事も、想われる事も出来ない、と。]