[金貨はその性質ゆえに救いを与えない。神はわかりやすい救いを与えはしない。明日を知れない生活だと、祈られ請われ縋られたとしても、救われる可能性だけをばらまいて、救済そのものを行おうとしない。一人を救えば際限がなくなることを知り、救済そのものが停滞を招くことがあることを知ってしまったが故に……四柱の中で最も即物的な存在である金貨は、恩恵を与えることを滅多にしなくなったのだった。**]