― 谷への道 ― [仲間同士の軽いやりとりから数刻が経過した後。一行は谷に向けて歩みを再開した。ざく、ざく、ざく…枯葉を砕くような音を立てながら、思いのほか柔らかい山道を延々と歩く。 歩む道の脇には立ち枯れた樹が延々と連なり、時を止めたかのようにひっそりと佇んでいた。 かつては緑豊かな森に囲まれていたと思われる山道。 今は、褪せた白と煤けた黒、後は延々と続く灰色の土に覆われた色を無くしたかのような世界。]