― 魔導炉 ―
[魔導炉の中に降り込めた圧は、雷撃も焔も天使も等しく沈黙させた。
発動の瞬間、飛び来たった天使の双剣が身体の前を浅く薙いだが、それだけだった。]
天使よ。困るではないか。
封印が解ければ、ツィーアは世界を消滅させるぞ。
[足元に倒れ伏す天使へ声を掛ける。
聞こえているかどうかは気にしなかった。
浅く切れた胸元からどろりと熱が零れ落ち、足元に点々と模様を描く。]
研究室に運んでおけ。
[天使の体を足先で返し、動かぬのを確認してから人形に命じる。
自分は暫く魔導炉に留まり、封印の修復のために魔力を紡いだ。]