[潮風の部屋を出ると、すぐ近くの青葉の部屋の扉も開かれていた。
何が起きたかは悲しいことに、見ずとも想像がつく。
最期までゾフィヤ准尉は気を張っていたのだろうか。
眠りにつくその前に彼女の気は休まっただろうか。
もう少し彼女に気を遣ってやれば良かったと今更、後悔する。]
[今日も誰かは死ぬ。
昨日からそれは予測していた。
予測していたのに、胸を引き裂くような痛みはその時にならないとわからない。
もう、役割とか答えとか全てがどうでも良い気さえするくらいに胸に空いた穴は大きい。
それでも、気づけば足は向かっていた。
彼女と行くと約束した場所に。
死なせない、という約束は守れなかったから、せめて、この約束だけは守りたい。そう考えて。]