[彼が心酔する神は、人の営みを教えても、其処に付随する快楽を説かなかったらしい。>>47
寝台に招いた途端、言葉を失う彼は清き初心だ。
今時、人間種の田舎娘とて斯様に慎ましい反応を露わにすまい。
人と同じ形を得ながらも、器を真似ただけで実地を知らない天の光。
月輝を集めて織った布地に、彼の金糸と蒼穹が良く映えた。
微か震えて聞こえた慄きへ、赫き眸が形だけを変えて笑む。
彼を揶揄る為でも、欺く為でもない、純粋な愉悦に撓み。]
―――……、
[彼が抱える戸惑いが美味く、彼が竦む怖れが甘い。
夢想させるは天使には不要な行為、命を育む神聖な儀。
微笑んだままの唇が、元の形を忘れて微笑が消えない。]