[幾多の天使を侍らせている悪魔の中でも大貴族な“彼”は、そう言うと、面白そうにそして満足そうに傍らの白い天使の顎を捉えている。
相手の天使はされるがままだ。
それは耐えているのだろうか。それとも、自ら望んでいるのだろうか。
どの天使も同じに見える自分にとって、相手は視界の中の置物程度にしかならないのだが。
自分は天使に………いや、自分以外の生き物に興味がないということを訴えても、きっと相手は理解してくれやしないだろう。
ただ頭を下げて、その勘ぐりなのか自慢なのかわからない言葉をやり過ごすのみだ。
この主は天使を飼うのが趣味であり生きがいのようだ。
もう既に何頭もの天使がいるというのに、まだ子供のように欲しがっている。
彼がいうあれというのも最近ご執心なあの天使のことなのだろう>>20
髪が長い、顔立ちが整っている天使を捕らえようと何度か攻め入ったことがある。
その度に逃げられてはいたが。
しかし───……。
ようやく、我が主の悲願を達成する日がきたようだ]