…きみは、
デズモンド・チェンバレンという人を知っているかな?
ボクの養父が仲良くしていた人でね、
ボクも幾度か世話になったことがあるんだよ。
[ 名前。それから、軍属であることを示す服。
彼の人が現役であったときをこの画家は知らない。
養父に連れられて何度か顔を合わせたばかり。
厳格そうだなという印象だけが記憶に在った。 ]
きみと名が似ているから思い出してね。
今頃はどうしているのだか……。
[ 半ば呟くように声に出して、
返事を待っていたときか、それとも
返事を聞いた後だっただろうか。
王宮から続く道に知り合いの姿が見えたから
宮廷画家はおやおやと瞳を瞬いたのだった。 ]