[>>48 『ローレル殿』と話しかけられ、嗚呼これは自分に向けられた言葉なんだって気づくまでに少し時間がかかり―――それはあまりに…がぼんやりしすぎていたせいで。]あっ、ええと、本ですか?[と、しどろもどろな返事になってしまうが、お酒に酔っているのだろうか紅潮した男の顔は思いの外近く、どきどきと胸を高鳴らせながらも]今日は「指輪物語」を読んでるの。たまには最初から読みなおしてみようと思って、一巻から…[幾度となく読み返されたのであろう、少し擦れた大きな本を抱えながらはにかむ。]