― 回想/平穏な頃 ―
[『第二王子の目付け兼護衛役』。
それが、平穏な頃の青年の務めだった]
……ですからね。
あまり、無茶をしないでください、と。
僕は、一体、いつまで言い続ければいいんですか、カレル様?
[とはいえ、その実態はと言えば、何かあった時の小言役。
度が過ぎればきつい言い方をする事もあったものの、穏やかな気質の青年が言葉を荒げる事はほとんどなく。
また、平穏であるが故に、大きく力を振るう機会もそう多くはなく。
青年自身がその魔術の才を隠したがる傾向もあり、その力の在り方についても他者にはあまり知られてはいなかった]