―ソマリアードが倒れた後―
[砦を強襲したのは、邪神の使いの如き魔物。>>20
壁画に描かれてもいたそれは、まるで伝承の中から抜け出てきたかのようで。
邪悪の限りを尽くし、絶命時には対峙者を呪って果てた。
魔軍の術師との相討ちで倒れたソマリアードをペンホールズへと送り届ける名目で、イングリッドは首尾よく城を抜け出す。
そうして北の大都市へと向かう一団に魔物の小隊をわざとぶつけ、はぐれた振りをして暗躍を続けるのだ。
放っておけば。何れソマリアードの命は尽きるだろう。
…それよりも、今は。]
…アラン。
[遥か南の地、門の見える丘でソマリアランを囲ったのは誰であったか。
そう一筋縄にはいかない男であるから、その結果が少し心配で。
――そっと、呼び掛けてみる。]