[けれど。卒業して戻ってみれば。
待ち受けていたのはその前の6年間より厳しい現実。
当主として立てば柵の絡み方も半端なことでなく。祖母はどれだけ厳しくとも、自分を守ってもいてくれたのだと知った。
そして、再び心を覆い隠すようになった。
時折、ソマリやヴィンセントと触れ合って外せることもありはしたけれど、それはとても稀少な機会。
段々と自分で自分のことが分からなくなることが増えてゆき。
何が大切だったのかも分からなくなってゆき。
とうとう、開いてはいけなかった箱を開いてしまった。
溢れた緑の光の向こうに居たのは、大切な……]