[――――――だが。今では、己こそがその象徴であり、ずっと疎んでいた存在そのものと成り果ててしまった。――勝手なものだ、と思う。幼い頃は、正妻の癇癪に生命を狙われ、姓を捨て養子に出され。ようやく、平穏な暮らしを知った頃。再び、暗く澱んだ世界に呼び戻されてしまった。]