[月日は過ぎても、二人の関係は変わらない。
けれど、二人は家族ではない。友人でもない。
かつては敵対すらしていて、それから恩人になって。
今は未だ愛ですらない、もっと曖昧な何か]
――ヤコブさん。
[リゼットに声を掛けられて、ヤコブはシチューから視線を上げる]
いえ、何でもないです。
……ごめんなさい。
[こうして問いかけて、止めてしまうのは何度目のことだろう。
けれど、今はこれでも良いとリゼットは思う。
いつかフローラのことを尋ねることが出来る日が来れば、きっと何かが変わるに違いないと、そんな予感がしていた。
だから――今は、まだ、曖昧なままで*]