― 公国側・補給路偵察中 ―[南方の、ほぼ海岸に近いエリアの河を、夜闇に紛れて超えながら。かつて遊んだ海を見た。あの頃も、今も、海は変わらずに。昼は穏やかで美しい波を、夜は滑るような漆黒の波を、岸へと打ち寄せている。かなり迂回路を辿りながら、海岸から北上してゆく。破壊された傷も生々しい市街地跡を静かに進み、徐々に公国の前進拠点へと足を進めていった]