− 野営地 −
[ 戦闘継続の命を下す一方、幾人かの使者を放って、元首につなぎを求めた。
ゼファーの指揮系統がよほど混乱しているのでない限り、いずれかの書状が元首のもとに届くだろうと思う。
内容は、負傷した王国軍総司令官の代理として、王弟ギデオン・エルギーノスが着任したことを通達するものだ。
カーマルグ駐留が長引いて、ゼファー軍は難儀していることと思う。つつがなく帰国できるよう支援するつもりはあるが、なにぶん、野営地周辺はいささか騒がしいため、まずは書面にてご挨拶のみ──といった内容の、今更ながらにすぎる定型の挨拶だ。
自分は野営地にいるから、神々の思し召しがあれば会える日もあろうと締めくくっておいた。*]