[暗闇に差し込む、一筋のほのかな光のように。
ふと心をを照らしたのは。
“ じゃあ、またあとで。”
最期の彼の、守りたかった笑顔と.
冷たいのにあたたかい、彼の掌のぬくもり>>4:297
最期の虚空に伸ばされた手は、心は知らずとも>>4:381.
どうしてだろう、今この瞬間も、彼が傍にいて、
私の手を握りしめていてくれるような、そんな気がして。]
……ディーク、傍にいてくれるか?
[幻のぬくもりの手を、ぎゅっと強く握り返せば>>4:382.
全身の沸騰するような憎しみと怒りと哀しみが、
微かにやわらぐような気がして。
ぎりと血の滲むほどに唇を噛み締めて、
衝動の大波をやりすごせば。
底なしの赤い暗闇の深淵の――…
崖淵に、まだ辛うじて立っていた。]