― 時は遡り ―
――では、
[王との密談。継げる言葉はラメールを売り渡す、というもの。
王は王でも、父であるラメール国王ではない、他国の王。
あまりにも唐突な話、且つ母国を売り渡す旨を王子が口にしたのだから流石に驚きは隠せないだろう。
何か裏があるのでは、という警戒心を抱かれたのは仕方が無いとして、諸外国への視察の度に密談を交わし、外国との小競り合いを収めていけば納得もしてもらい、協力を得る事に至ったのだ。]
****国ではなく、貴方の国にわが資源を使っていただければ対抗出来る力を得られましょう。
[北の国には強大な南の国の名前を挙げ、南の国にはゾネス要塞を挟む北の国の名前を挙げる。
北の国南の国の夫々の王に話を持ちかけ、ラメールを譲る旨を伝えていた。
ラメールが消滅してしまえば、北と南で奪い合いが起きるかも知れない。
逆に王が此方の思惑を読み、北と南で協力しあうのかも知れない。
どちらに転んだとしても、ラメールが消えるならば、この密談が新たな火種を生み母国を滅ぼす切っ掛けになれればそれで良いのだ。]