バチンッ[撫でた指先から火花が散り、サーベルが帯電する。何事か、とそのサーベルを見つめ、それから主を見上げる。眼差しに、促された気がして、刃を抜くと、バチバチと火花を散らす刃から、金の獣が飛び出した。獣はちょうど、ウルと呼ばれた狼程度の体躯を持ち、ぐるりと男の周囲を一周駆ける。そして、再度目の前に戻ってきた獣は、男の蒼銀の瞳を見上げた。眼差しが出会った瞬間、その獣の正体を知る。ゆっくりと、抜いた刃を収めると、獣は目を閉じ姿を消した。]