[ まだ旅塵もおさまらぬ中、伝令が駆けてきて『リンザール家当主レオノラ、只今到着しました』と報告する。]
さすが、疾風迅雷のリンザール騎兵だ。
[ 当主のレオノラはタイガと同年輩の青年だ。
次男坊の身軽さでレオノラが放浪していた頃から、彼の生真面目な兄ジャンには軍馬の目利きを教えてもらったりと家柄を超えた付き合いがあった。
ジャン亡き後は、いくらかでも兄の代わりがしてやれたらと折に触れて目配りをしている。
贔屓と思われても構わない、とは思っていた。
周囲の羨望くらい跳ね除けるのも才のうちであろう。]