― 人気者を前にして ―
『 人気者が人気者たる所以はなんぞや? 』
[ 人徳、富、権力…
場合によって持ち得たものは違うだろうが、
今この時に限っては人徳の一択と言えよう。
この画家が目を止めるに至るも、
後々、知り合いが目を止めるに至るも同じく
どちらとも、ある種人徳のなせる業だ。と。 ]
刃も手入れをしなければ錆びるだろう、
平和過ぎるのもまた、考えものだねえ。
変わらないものなんてない。
ボクの絵も…きみのサーベルも、ね。
[ 鼻歌で窺える上機嫌な様にくぎを刺すように
平和には翳りがつきものだよと口の端で嘯く。 ]
…チェンバレン嬢か、…ふうむ。
[ その間、聞こえた名前に憶えがあるように感じて
何で聞いたのだったかと暫し首をひねった。 ]