[困惑したような声で謝罪の言葉を投げかけられ、足音が一歩こちらへ近づいたのにようやく我に返る。>>49
それでも真っすぐに彼女を見ることは出来なくて、手を降ろして力なく首を横に振った。]
……いや、俺の方こそすまない。
見苦しいところをお見せした。
[視覚と聴力がようやく正常に動きだし、相手の徽章から同じ中尉であることを認識する。
彼女は距離を開けたままこちらを見つめていたが、謝罪の言葉を口にする他はそれ以上何かを言う事はなかった。
彼女はカスパルの罪の一つなのかもしれないが、さほど明瞭な記憶は持っていないのかもしれない。
それで良い。あのような事は知らない方が良い。]