― スミ湖→キサンの途上 ―おらおら走れ走れ。もたもたしてたら追いつかれるぞ。[ひいひい言っている弟子たちと荷馬車を追い立てるように走りながら、ゲオルグは息を切らした風もなく相変わらずの音量で発破をかける。その声と土煙を立てつつ走る荷馬車の騒音は、ずいぶん遠くからでもわかるだろう。湖からキサンへの近道をひた走っていると、前方から騎馬がやってくるのが見えた。>>39]