―天使の鳥籠―
[一見、貴族の邸宅の様な、そんな格調高いお屋敷の入口で。
チンピラもどきの男と、
半裸の上にジャケットを羽織っただけの異国の少女が
何やら漫才を繰り広げていた]
おま……っ、何べん逃げ出そうとすりゃ気が済むんだよ……!
[敷地内に入り、ようやく彼女を地面へと下ろす。
ここに辿り着くまで、少女は何度も大脱出を試み、
その度に短くない距離の鬼ごっこを繰り広げていた]
お前なぁ、その格好で、一人でこの辺彷徨いて、
どうなるかとか判らんのか……!
[敵国の軍服、乱れた着衣、そして幼いながらも整った顔立ち――――
けして先程の兵士二人が特殊な訳では無い。
少女へと向き直ると、ポケットへと手を突っ込んだ]