

― →帰館 ―
[白い光が明けた先、
閃光に焼かれていた瞳を重く開けば、闇夜が蔓延る園庭が臨めた。
空には白々しい月が、賭けも欠けも知らずに浮かんでいる。
館を離れた時は、漆黒に染まっていたと云うのに、
宛ら眩い愛妻を一目、観覧しに着たようだ。
どれほどの刻が此方で過ぎ去ったのかは分からない。
けれど、一先ず大きく息を零し、凭れるように愛妻を抱き寄せた。
全ての精霊力を費やし、摂理を捻じ曲げたが為に消耗は大きい。
しかし、代償には吊り合わぬほど大きなものと帰ってきた。
イングリッド、と甘えるように口腔で低い声を漏らし。]