[皇子が回復したのはウルの力かもしれないし、他の治療が功を奏したのかもしれない。
だけれども、自分はウルの力だと信じた。
勝手にウルを持ち出したことと、後宮に忍び込んだことは、結局軍の偉い人にバレて、ものすごく怒られた。
それでも処分されなかったのは、自分がウルの被験者として貴重な存在だったからだろうと思う。
子供に後宮へ忍び込まれるなどという前代未聞の事態は、一部関係者を除いて、厳重に隠匿された。
これがウルの力をますます信奉し、絶対者だった皇帝に不信感を抱き、絆の声を手に入れることとなった事件の顛末だ。]