[…寒い。身体がじんじん痺れて、何も感じられない][子供の頃、熱いパン焼き釜に触ると、凄い火傷をした指先が痺れた時の様に。熱いのとは正反対なのに、何の感覚も無くなる感じだけは良く似てた。…あにぃ、あの時凄い顔して心配してたっけ…][山の景色も見えない、瞳の奥を覆い続けているのは。雪。馬鹿みたいに踊り狂う、白色と銀色のダンスパーティー。小麦粉みたいな粉雪がぱっと弾けたかと思えば。拳程ありそうな重たい雪玉が、冗談みたいに風に浚われていく]