― 洞窟 ―
[ それぞれに決意と真摯な使命感をもって、仙花探索の任を果たそうとする者達の様子に、玄武神は仄かな笑みを唇に刻む。
やがて、朱雀のいとし子も、追いついて、遅参を詫びるを聞けば、笑みのままに静かに首を振った ]
遅れて来いと言ったのは私だ。詫びる必要はない。
[ カスパルの父母は、玄武神の古き友でもある。地上にある彼らの奥津城を天の護りを務める一人息子が滅多に訪れる機会の無い事を、朱雀神共々、常々気にかけているのは互いに承知の事だった ]
…そうか、喜んで貰えたなら届けた甲斐もあった。
[ そうして伝えられた言伝には目を細め、柔らかな声を返す。天で待つ妻への土産話が出来たとの思いは、内心のみに畳んでおいた ]