[抵抗を退けながら進む内、足元の質感が変わった。
踏み出した足が奇妙に滑る。
先ほど、前方遠くを横切った影が地面を見下ろしていたが、あれの仕業か。>>37]
鎚を持て。
[戦斧を部下に持たせ、代わりに鎚を持ってこさせる。
見かけはワイン樽サイズの鉄塊に鉄の棒を突き刺したものという重量物を、両手で振り上げ、振り下ろした。
雷鳴もかくやという大音量を響かせ、鉄塊が石畳に衝突する。
地面が揺れ、敷石がめくれ上がり、蜘蛛の巣状に地割れが走り、砕かれた石材の粉が舞い上がった。]
これで歩きやすくなった。
皆も習え。
[号令に従い、兵らが鎚を振るって地ならしする。
魔法の効力はそれで失われたが、帝国軍の進軍速度も鈍った。
そうして生まれた時間は、魔道士の雛らを逃がす隙>>43 にも繋がっただろう。]