― 案内板前 ―
[彼がドロシーの言うとおりに先へと進んだのなら、思わず頬をゆるませて。
ぱたぱた。ゆれる足は、彼にとっては邪魔かもしれませんけれど。
案内板の前、それを眺める女性>>37には目もくれずに。
いいえ、案内板にくぎづけになった思考は、従者の声すら届かないほど。
お屋敷ばかりで世界が完結した、幼いドロシーにとって
ここは知識としてはしっていても、"しらない"ことばかりですから。
なんでも新鮮に見えて、目をうばわれてしまうんです]
ドリィ、おはなのおんせんがいいです。
ほら いちばんうえにかいてある。
[瞳を水晶のようにかがやかせ、ドロシーは彼の方をむきます。
お花がうかんだ温泉は、きっと素敵なはずです。
彼もきっと、賛成してくれるでしょう。
反対されたって、聞きやしませんが]