… … …決してパティシエの腕が劣悪な訳ではない。 然し、昔からこればかりは思うが。 … … …大福は紅茶に合わんな。 もう良い、下げろ。[結局、フォークとナイフで苦労して切り分けられた、国中でも実績あるパティシエが供する午後の茶菓子はひとくち含んだだけで、退出した。紅茶の味わいはとても良いのだが。この国には生憎、男の味覚を満足させるに足る、茶菓子が存在しなかったのだ]