[もちろん、ゲルトが本物の神であろうはずもない。ゲルトの正式な職業は作家である。物語を書く時、自分の国――世界を自由自在に作りあげること、それを比喩しての言葉だった。この村にはもともと民間伝承などを調べる為に来たのだったが、思いの外居心地がよく、小説を書くのに良い環境だと感じた為、居座り続けている。モーリッツ辺りからは、仕事もしないでぶらぶらしておるように見えるらしいが、概ねその通りだ。]