― サロン ―[小さなテーブルとソファーがいくつか配置され、軽くダンスするにも不便の無いような空間と壁際にピアノまで備えられたこの部屋を、城主は客と会うときに良く使っていた。] 先方が良いようならこちらにお通しして。[召使いに声をかけて、自身はソファーに座る。傍らのケースから取り出したのは飴色のヴァイオリン。遊ぶような手さばきであったが、音は良く通った。]