[更にその向こうに、一際大きく重厚な戦艦>>16が在る。
あれこそが、敵旗艦ヴァンダーファルケであろう。]
…――――いるか。其処に。
[ひとりの男の顔を胸の裡に置きながら、彼我の距離を測る。
まだ……遠い。けれどそう、此処まで来た。
船尾をこちらに向けた敵旗艦は、旋回する様子なく――水路に向かった第一艦隊の方角を、違わず見据えたままだ。
ゲオルグの気性を思えば、なんだかその様子は納得がいった。]
…、自らが行くのだろう?
陛下を追って。
[常に前面に立つ男。成さんとするものは自らの手で掴み取り、成し遂げてゆく男。
オルヴァルでタクマの乗った巡洋艦を救い出した時も…思えばそうだった。]