― 東海岸 ― >>41[ バルタは盾を外し、両手で歴戦の槍を握る。 ああ、盾がない方が、彼の姿がよく見える──と、どこか嬉しいような気持ちで彼の戦支度を見守った。護衛兵の統制も見事だった。踏み鳴らされた足音に、甲板下で櫂を握っている者たちは肝を潰したことだろう。ギデオンの耳は、月に吸われてゆく音を記憶に留めた。]