― 回想:レグザ参謀総長に命じてから ―
[アレクシスに諸外国に通じる間者を始末する様に命じ、彼が執務室を後にした。
その後参謀総長に悟られない様に、軍の諜報員――諸外国に通ずる軍人である事を知ってる上で利用してる――を部屋の中へと通す。
有事の際にはアレクシスを処分する様に、と命じた彼らに指示を加えよう。]
可能であるならば、レグザ参謀総長の遺体を何処かへ移動し偽装しろ。
それが難しいのであるならば、遺体はそのままにし諸外国に通じていると言われている証拠は残せ。
[重苦しい何かが胸の中で蠢くのを感じながらも、低い口調で命令を続ける。]
レグザ参謀総長が、“諸外国に通じてる者にたどり着いた所以に至る証拠”は残しつつ。
敢えて、軍がやった可能性がある証拠は消すな。
[敢えて証拠を残す事で文官側が、監査局が食らい付いて来る事も考慮しつつ。
諸外国に通じてる者が軍に成りすまし、その罪を軍に擦り付けようとしている可能性を残こそうとしている。
その分軍側にリスクを負う事になるが、リスクを負わない策は却って身を危険にするのは重々承知している。
その一手を講じれば、諜報員達は敬礼をし執務室を後にし、椅子に体を預け天井を見上げた。
見えて無かった天井のシミが、この年になって見え始める事に重い吐息を漏らさざる得ない*]