[その時、敵右翼――
自陣においては左翼の軍勢が動いたのを目端に捉える。>>514
側面を滑らかに包囲する動きは熟練のそれ、
絶えず周囲への注意を配りながら僅かに接近し、指揮官はと目を凝らす。]
……あれか。
[砦に残してきた幼馴染とは違い卓越した視力は持たないが、
俊足騎馬の間に見えた老兵の顔は書物上でだが覚えがある。]
側面を重鎮が固めているのか。
[ウォーレン・コリドラス。
見たら忘れない髭はさておき、かなりの知将と聞いている。
確か一線を退いたと聞いているが、参戦しているとは。
重鎮が控えているのは予測していたが、こんなにも早く目に見える位置に出てくるとは、と、驚嘆が毀れ落ちるが、返り血と共に拭って捨てる。]