[其処に顔を覗かせたのが、翠の長い髪をした少女だった。
着ている豪華なドレスから主の縁の者が連想された。
待っている間に遊んで欲しいとせがまれたものの、子供相手は慣れていなくて。
困ったあげく、――口ずさんでみたのがオルヴァルの国歌とも言うべき自由の歌だ。
どこぞの鼻歌のような壊滅的音痴ではないが…
決して上手いとはいえない低音で一曲披露し終えると]
…、気にいったのか?
[結局ユルド社の主が帰ってくるまで、請われるままに歌を教えた>>34。
教えたのはその一度きりだ。
やがて戦争が始まって、ロー・シェンは海に居る時間の方が長くなった。]