― 水浴室 ― 良く言われる。 魔物に評されたのは初めてだがね。[懐潜り込んだ男の囁きは彼の言葉に重ねて乗り上げ。>>37全ては己の右腕が――人が持たない力が身体を酷使する。しかし、己は彼が告げた言葉の裏側に、己の酷薄さを見る。大義名分と綺麗事に隠して振るう剣ばかりではない。人の身を弄り、魔と同じ力を宿して、敵の息の根を止める。闘争に染まるこの身を聖将などと思い込む筈も無い。護りたいものの為に剣を振るう彼の方が、余程―――]