[ 掌に吹きかけられた温さを潰すよう
握りしめた拳だけはここにあり、
ようやっと訪れた男からの別離>>35も
今から実行されようとする行為を理解すれば、
頬が引き攣りくちびるが震える。 ]
や、っめろ……やめ、ろ、クレメンス。
[ 穢され、知る悦びなど求めていない。
禁忌など欲していない。
与えられる事を望んでいない。
鼻の先がこすれ合った>>36
腰を抱く左手に怖気が走り、
腹を撫で上げる右手に体が強張る。
それでもまだ強がるのだろう。
口づけが案外柔らかい事に
緩みそうになる気を保ち、舌が拒んだ。 ]