― 水軍旗艦『八幡』・甲板 ―
[今回の演習は、一際士気と緊張感が高い。
まだ経験の浅いミヒャエルでさえそれを感じる程に。
その理由は明白で、作業の手が空いた者がつい統制室の方向へ意識を向けてしまうのは、致し方ないことだろう]
姫――いや、次期女王様か。
[正直なところ緊張の方が勝るもので、今も努めて意識しないように、統制室ではなく船前方へ意識を向けている。
が、甲板上のざわつきが一際大きくなり、ついで静まり返ったことで、否応にも振り向くことになった]
――アデル様。
[護衛を連れた姿に一礼を取る*]