[パメラが家に引き取られた>>41日のことは、今でも鮮明に覚えている。]
……おにいちゃん。そうだよ、そうだ。
[問いかけに頷き返しながら、長年憧れていた呼びかけに深く感動していた。
「パメラが好きなように呼んでいいよ。今日から皆家族だもの」と、満面の笑みを浮かべていた両親の言葉も、右から左に抜けるほどに。
昔から妹がいる同じ年のゲルトが羨ましくて仕方がなかったから、ついに俺も念願のおにいちゃんになったぞ!とわざわざ自慢しにいったくらいである。
そのゲルトが数年前、森の中で負傷して目が不自由になったと分かったときは、とても心配したものだ。その直後、]
俺がいい薬を探してくる!
[などと大口を叩いて村を飛び出した2ヵ月後、イモリの黒焼きやら人魚の鱗やら一角獣の角の粉末やら、正体すら怪しい何かを持ち帰って押し付けた。
さてはて、少なくとも黒焼きは目の治療ではなくほれ薬に使うのだと、真実を教えてくれた親切な人はいたかいないか。]