ディーク様、辺境伯を討ち洩らしました。 …が、向こうはいまだ手薄。手勢を回して下され。 場所は───…[兵と兵とに挟まれて、辺境伯の姿は視界の向こうに消えた。手当てをとの声に応じて頷きつつ、それを目線が追いかけた。同時に痛みに揺れることは許さぬ声が、主に状況を伝達する。今はこれ以上、かの男を追うことは出来ない。深く、重い息が男の胸を*滑り落ちた*]