……まぁ、一人旅というのも、たまにはいいものよね。[ふぅ、と一つため息。ついこの間、恋人と破局してからというもの、慰めるふりして興味本位に根掘り葉掘り別れ話について訊いてくる“女友達”の存在が煩わしくて][そういった意味では、近くに知り合いのいない旅というのは、本当に悪くないものに思えた。旅のあいだはどんなに親しくなろうが、この船から降りたらもう赤の他人。――夢の中の世界は、綺麗な思い出となって、きっと面倒なことにはならないだろうから]