―― 医務室 ――
[ダーフィトを手伝い、怪我人を寝台に。
その左の肩口の、まるで獣の爪で引き裂かれたような服と、出血跡を目の当たりにすれば。
先程からずっと堪えていた指先の震えが顔を出しそうになり、ぐっと堪える。
苦しげな表情で微睡みに落ちかける、傷のない方の右肩に、触れるか触れないか、ほんの一瞬だけ置いた手は、常にも増して氷のように冷たかっただろう。
ずきり、と――、自身の左肩の下、胸にかけて走る古傷が、一度脈打つ。
直ぐに寝台を離れ、応急手当の次に必要になりそうなものはと探し始めるが。
折しもダーフィトの話が始まれば>>39、寝台に身を起こす怪我人の姿にぎょっとして、睨み付けることすら忘れた。
施された圧迫止血>>27>>34の包帯から、見た目として更に出血があるようなことはなさそうだと、ため息一つ。]