人狼物語−薔薇の下国

549 月下薔薇


木こり イェンス

―安置室―

[結局、サシャの元から自分の部屋へは戻らなかった。
 人間の顔を装う布石としても、自分の虚ろに寄り添うコエに耳澄ます人狼としても、死者のそばにいるのが一番だったから]

……。
――…っ!

[ずっと、鉈を持って壁にもたれていた。
 サシャを連れてきたオズワルドの気配に気づけば、咄嗟に鉈を構え、すぐに力なく取り落とす]

運ぶ手間を減らそうと思って待ち構えてましたが。
……むだ、だったか。

[襲撃されるのは自分だと思っていた、とばかりに]

サシャ……ですか。

[彼女から奪った温もりは身の内にあるのに。
 遠くに逝ってしまったなんて、烏滸がましい事を思う]

(48) 2021/08/06(Fri) 19:33:00

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