―安置室―
[結局、サシャの元から自分の部屋へは戻らなかった。
人間の顔を装う布石としても、自分の虚ろに寄り添うコエに耳澄ます人狼としても、死者のそばにいるのが一番だったから]
……。
――…っ!
[ずっと、鉈を持って壁にもたれていた。
サシャを連れてきたオズワルドの気配に気づけば、咄嗟に鉈を構え、すぐに力なく取り落とす]
運ぶ手間を減らそうと思って待ち構えてましたが。
……むだ、だったか。
[襲撃されるのは自分だと思っていた、とばかりに]
サシャ……ですか。
[彼女から奪った温もりは身の内にあるのに。
遠くに逝ってしまったなんて、烏滸がましい事を思う]