[その日から、嫌がらなければ刀の使い方を。
嫌がられたのなら、心得だけ教えたのだったか。]
刀を抜くときは、“守るため”に抜けってさ
命、誇り、大事な人、何でもいい
自分が命を賭けてでも“守りたい”と思うものを守るために
絶対に、“傷付けるため”に抜くんじゃない
そうクソ……じゃない、親父に教わったよ
それが刀の正道だと
[自分も真っ先に教わった、父親の元部下で姉弟子だった2人にも、一番最初に教えたらしいことを説いた。
邪道に堕ちた、今の男ではもう、教えられないこと。
何故教えたのか。どうして教えようと思ったのか。
完全に堕ちきってしまう前に、誰かに託したかったとでも言うのか。
思考を歪められた男にはもう、あの時の思考はわからない。]