[同じ性質の力を喰らった獣は、手背で口元を軽く拭う。 エントランスから続く階段は上階に伸び、王の背を追えば、今度も良く慣れた――― だが、些か異質な匂いを嗅ぎ分けた。闇の匂いでも、夜の匂いでもなく、もっと賢しい匂い。>>3 その根幹を突き止める前に自棄に軽薄な声が響いた。 神を冠してきた光闇とは、一線を画す色合い。 胡散臭さは同胞の道化師>>7と似ているが、クン、と軽く鼻を鳴らし。 彼の言葉に耳を傾けるは暫し。 黄金の眼を僅かに細め。>>4]