[けれどまあ、報いってもんは巡るらしい。深夜の逃走劇はとうとう橋まで追い詰められて両橋から袋の鼠。橋伝いに逃げようにも大雨の影響で川は増水。濁流となって激しく木々や土石を押し流す。あの男に一矢報えないのが悔しかった。何も出来ない自分が酷く悔しかった。それでも、諦めるには往生際が悪過ぎて。痛んだ傷と失血で目は霞み雨で濡れた体は体力を確実に奪っていく。]